Chihi’Log

物語の主人公はいつだって自分だ

心を込める時間

 

学生時代の音楽仲間が「誕生日に手紙を書いてほしい」と。

 

こんなに嬉しいことはない。すぐに新しい便箋と封筒を買って、思いを綴って、郵便局へと向かった。

 

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私は幼い頃から、手紙を書くのが好きだ。

 

自分にとって大事な場面にはいつも手紙を書いていた。手紙にすると、言葉はおまじないのように感じる。時には相手を考えて綴り、時には自分の気持ちを素直に綴り。言葉たちは、そこに留まる気がするのだ。また封を開ければ、その時の感覚に戻れる気もする。

 

人生で手紙をもらうことも多い。

好きな人に手紙をもらうこともあったし、親から手紙の返事を書いてもらったり、私の周りの友人もたくさんの手紙を私に贈ってくれている。

 

 

大学を卒業するときに、親友から一通の手紙をもらった。

就職で親友の住まいが離れるときだった。今までこんなに近くにいたのにすごく遠くに行ってしまうから、私を思ってお守りのように書いてくれたものだった。

私は今でもその手紙を大事にしていて、苦しくなったら読むようにしている。なんだか読むと安心して泣ける。その涙がまた、前向きな涙だったり、する。「止まってもまた進もう」と思える。

 

 

気持ちを伝える方法は世の中にたくさんある。

 

手紙なんて重い、と言う人もいるし、紙が増えるだけかもしれないし、どうせ捨てるからいらないのかもしれない。

 

 

たぶん、

私は相手との思い出を振り返る時間が好きなのだ。

 

手紙は相手と私の世界のものだから。この人からこんな影響を受けたなとか、あの時こんな気持ちだったよとか、歴史をじっくり振り返りたいのだと。

 

描いた私にも残り、贈った相手にも残り。手紙そのものがずっと残らなくても、心に残ればいいと思っている。そういう手紙を描きたいといつも思う。

 

 

最近読んだ本に

「人生で一番大事なことは思い出をたくさんつくること」

と書いてあった。

 

私は、思い出を作ることも大事だし、それらを残すことも大事だと思った。

最終的には、心に残ればいい。心に届けばいい。人は何も持たずに人生を終えるのなら、心には沢山の思い出を綴ってその時を迎えたいと思った。

 

 

伝えたい言葉があるのなら。その言葉を真っ直ぐ相手に伝えられる人で在りたい。

手紙はそれを叶える最適な手段だ。

相手に心を込められる最高の時間でもある。

 

 

 

 

 

 

CHIHIRO