今週のお題「夏の思い出」
私にとって、海外は異国だった。
遠く離れていて、別世界で。自分がそこに行くことをまるで想像してこなかった。
それが少しずつ変化していったのは20歳くらいのとき。周囲の人たちの影響が大きかった。
大学で一番お世話になった恩師がアメリカでソーシャルワークを学んでいたこと。前職で仲が良かった同期がスウェーデン人だったこと。友人であり同志のAちゃんはカナダへ留学したり、ハワイで人生を見つめ直したり。家族のような存在の友人も韓国と縁がある。
そんな仲間たちとの繋がりが「私もいつか海外へ行くんだろうな」と思わせてくれたきっかけである。
28歳、夏。
私は初めての海外旅行へ旅立つことになる。行き先はベトナム、ダナン。
初めて行った海外は、ぜんぜん異国ではなかった。
そして、私という人間を深く知る機会となる。
- 飛行機乗り継ぎにて、ビビリな自分が飛び出る
- 海がとなりにあることの幸せ
- 共通言語は、伝えようとする気持ち
- ここは異国?海外?リゾート?いや、生活の延長線
- 幸せを感じられる心を持ち続けよう
- 人生の答え合わせをしたような、そんな旅だった
飛行機乗り継ぎにて、ビビリな自分が飛び出る
機内ではずっと空を眺めていた。あまりにも私が空を眺めているので、「千紘、席かわるよ~」とAちゃんが窓際の席と交代してくれた。空を眺めているだけで幸せだと思える心があって良かった。全くもって退屈せずに4時間のフライトが終了。
私たちはマカオで乗り継ぎをした。
マカオに着いたのは夜20時頃。着いた時点で空港内の空気が苦手だった。案の定、その空気感は自分の心に伝わってしまう。荷物検査で「これ、あなたの荷物?水入ってるんじゃない?(怒)」と言われたことに硬直。だいたい何を言っているかはわかるが、返答ができない。ガッチガチに固まりながら、日本語で「ごめんなさい!」と伝えながらペットボトル2本をまるまる捨てた。
私が受け取ったのは検査員の怖い表情と「~drink!」という大きな声のみ。小心者の私にとって、心臓が止まりそうな出来事だった。ダナンに辿り着けないかと思った。
学び。私のような人間には直行便がいいのかもしれない。本当にビビリだった。
海がとなりにあることの幸せ
泊まったホテルの部屋はオーシャンビュー。ベランダから毎日、朝日を眺めた。
海がとなりにあることの幸せ。私は海がとても好きなんだな、ということに改めて気が付いた。眺めているだけで、さざなみを聴いているだけで、心がとても平和になった。幸せな気持ちになれた。
きっと日常でも。私はなにを感じると幸せなのかな、どんな音が好きで、どんな感触が心地いいのかな、ということについてもっと考えてもいいのかもしれない。そんなことを思った。
ダナンの皆さんは早朝4時から海に入っていた。気持ちいいだろうな。
共通言語は、伝えようとする気持ち
私にとって、英語を話すことは難題。
今回の旅では、Aちゃんがほとんどの手続きを英語で交わしてくれた。しかも軽やかに、スマートに・・・!本当に知的でかっこよかった。心からありがとう!
旅先でのホテルを予約したのは私だった。ホテルに着いてチェックインをしようとするも、私には支配人が話す英語が全く分からなかった。「あなたのクレジットカードを通すから貸してくれる?」というセリフを3回くらい言わせてしまった。これが一人旅だったらまずかったな・・・と内心ハラハラした。
何故か現地のベトナム人の話す英語は聞き取れた。不思議と伝わるものがあった。特にグラブのドライバーが話してくれる話は毎回面白かったし、心から笑った。
「シンプルに伝えるからね」と言われても。「きっとわかりやすい言葉を使っているんだろうな」と思っても。「あなたに伝えたいんだよ」という気持ちがなければ、人には伝わらないのだ。目の前の”あなた”と会話する気持ちがあれば、いくらでも会話は成立する。これは、どこの国にいても、ビジネスまたはプライベートであっても、相手が友人や家族、恋人であっても、同じだ。
私たちの共通言語は、伝えようとする気持ちなのだ。
ここは異国?海外?リゾート?いや、生活の延長線
海外に来て驚いたのは、自分が知らない土地に関わらず、意外と馴染んでいたということ。
旅に出る前は全く知らない土地に行って「何も食べられないかも!」とか「旅先で出会った人と一言も話せないかも!」とか、多少の不安と緊張があった。でも行ってみたら不安や緊張は消えた。これにはいくつか理由がある。
選ばれた荷物は安心材料
ひとつ目は、旅に向けて自分なりに準備をしていたこと。少しでも安心な旅を!と思い、荷物は慎重に厳選した。小さなキャリーバッグに行きは6.7キロ、機内持ち込みができた。帰りも7.6キロとそんなに増えることはなかった。旅に必要な荷物は人それぞれ違う。服や下着は日数分、スキンケアは普段のものを少し多めに。私には①安心感②慌てないで済む③疲れた自分に無理がない という3点セットがパッキングに重要だった。
食べられるものを選んで、しっかり食べる
二つ目は、食事はしっかり食べようと決めたこと。普段食べない料理は、口に合わないことなんて日本でもある。だからこそ、多少他のものより値が張っても、自分が食べられるものを選んだ。旅先でエネルギー不足になったり、体調不良になったり、お腹を壊すより全然いい選択だった。水もペットボトルのものをしっかり買いました。
私たちは基本カフェに入っていたけど、メニューは英語表記があり助かった。バインミーが気に入って滞在中5回くらい食べた。美味しかった。また食べたい。
何も気にしない、なんとかできるという心持ち
三つ目。もちろん、なんかこれ危ないな・・・という展開もあった。ダナン空港に着いて予約していたタクシーに乗った際、ドライバーの翻訳アプリから「私が会社に誘拐犯だと思われます。あなたたちは何も言わないでください。」とカタコトのアナウンスが流れたときは本気で誘拐された・・・と思った。(情報と言葉数が足りなかっただけで、この後ドライバーの意図は伝わりました^^)
自分の思いと相手の思いがズレることって、日常茶飯事だ。それでも生活は続いていくから私たちは気にしない技術を持ち合わせているわけで、それは旅に出ても同じだった。
何かが起きたら、その時なんとかできるように精一杯考える。そして、無事に解決したら気にしないこと!目線は次、次―!
幸せを感じられる心を持ち続けよう
旅に出て、幸せは目の前にあるということを深く考えさせられた。
健康に過ごせていること。帰る家があること。美味しくご飯が食べられること。この景色を見せたいな、と思える人がいること。学校に通って勉強してきたこと。音楽に触れてきたこと。話したい相手がいること。元気な姿で大好きな人に会えること。自然を感じられること。他にも、沢山、沢山・・・。
それらは私にとって”幸せ”であり”感謝”したいことだ。
幸せと感謝は繋がっている。
ダナンで特にお世話になった人たちには日本語で感謝を伝えてきた。私にとってはそれが一番心を込めた方法だったから。
人生の答え合わせをしたような、そんな旅だった
今までの人生が映し出されたような。今までの経験を心の引き出しから選んで、取り出して。「リスキーなことは控えよう」「今はゆっくり休んだほうがいいね」「明日楽しむために今日できることはやってしまおう」「無理なく負担なく」「自分で出来ることは自分で」「頼ることも大事」私にはいくつものカード(選択)がある。それを自分で選ぶことだってできる。決めることもできる。
そうだ、私はこういう性格だった。これが私だった。
28歳で初めて出掛けた海外では、想像以上の発見と収穫があった。私はこの旅で、さらに自分を知ることができた。自分という人間を深く考えることができた。自分で自分の可能性を閉ざしてはいけない。やろうと思ったことはやろう。そして私たちは、意外とできる自分に気が付くのだ。あなたも、私も!
本当にすべてが楽しかった!一緒に行ってくれたAちゃん、どうもありがとう!!
また行こう、ベトナム!
これからの人生、知らない土地へいくらでも旅をしよう!
そんな28歳、夏の思い出。
帰国中にケガをし、風邪をひき、その後胃腸炎になったこともまるっとすべて思い出である。
それでもまた私は、旅に出るのだと思う。
長文、読んでいただきありがとうございました。
また、描きます。
2024.9.23
CHIHIRO