Chihi’Log

ソーシャルワーカーがお届けする人生論

引越しをやめたら、感謝があふれた

 

今の家には思い出がありすぎる。

 

よく風が通って、春にはベランダから綺麗な桜が見える。秋にはイチョウ。毎朝、木々に止まった鳥たちの鳴き声が聴こえる。

 

沢山の人たちが遊びに来てくれて。この家に住み始めた頃は、仕事に行き詰まっていたAちゃんがよく泊まりに来ていた。私はその期間で、ひとりではなく誰かと過ごすことの意味を学んだ。

 

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「自分のことを愛そう!」と決めたのもこの家に来てから。好きなものに囲まれた部屋にしたり、鮮やかな色のワンピースを着るようになったり、新鮮な食材を使って美味しい食事を作るようにもなった。

 

そういった生活をしているうちに、自分の良いところをたくさん見つけた。いっぱい褒めてあげられるようになった。「いいね!」「それでOK!」「幸せだね!」と口癖のように言うようになり。他人のことも認められるようになった。苦手なことに対しては無理をしなくなり、できないことは潔く諦める。「まあいいさ!」と楽観的。そういう自分でいいんだ、むしろ、そういう自分が好きだなと思った。

 

彼と付き合えたのも、その期間があったからだと思う。自分を大切にしてきたから、同じように自分を大切にしている人と一緒に居ることができた。彼は、いつも私の背中を押してくれる。私のどんな選択にも「それでいいんだよ」と言ってくれる。彼にはとても感謝している。

 

 

この春、アパートの家賃が上がることになり、引越しを決めた。引越す!と決めた日、いろんな思い出が溢れてひとり眠れない夜を過ごした。Aちゃんはそんな私を見て「卒業する気分なんだね」と言った。大事なものから離れ、どこか違うところに行く感覚。すごく寂しくなってしまった。しばらく不安定な日々を過ごした。

 

不動産に行き、あらゆる予定を調整し、今とは違うエリアでの引越しを決め、内見したところで、私の心がストップを出した。

 

「・・・やっぱり違うな。引越し、やめよう。」

 

そう決めて、不動産の担当の方に伝えると「今のアパート、すごく良い家だと思いますよ。まだ住んでいいと思います!」と笑顔で言ってもらった。新しい家探しを手伝ってもらっていたのに、今の家にいることを勧めてもらった。すごく申し訳ない気持ちになると同時に、素敵な方との出会いに感謝した。またお願いする日が来るといいなと思う。

 

家に帰って、すごく安心した。

やっぱりこの家が好きだなぁ・・・と思った。

 

気持ちのいい風に吹かれて。もう一度この家での生活を始めようと、気持ち新たに。

 

 

今日は、家へありがとうの気持ちを込めて、春らしいお花を買って飾った。好きな音楽を聴きながら大掃除をした。いつもはやらないような場所を念入りに綺麗にした。買ってきたレモンの端でシンクをひたすら磨いたり。気持ちよくなって、途中でお昼寝を挟んで。夕飯は最近ハマっている肉じゃがを作った。もちろん美味しかった。

 

そうだ、この家に引っ越してきた時の日常はこんな毎日だった。

好きなことを、好きなように、自由気ままに暮らしていたな。

 

引越し(しないけれど)を通して、家への感謝が溢れた。自分の生活を見直すきっかけにもなった。私は今の生活が好き。この生活が心地いい。引越しは「しないといけない時」ではなくて、「したいと思う時」が来るはず。

 

人それぞれ色んな春があるけれど、やろうと思って立ち上がったあと、またしゃがんでもいい。引っ越そうと思って、やっぱりやめてもいい。私はそんな決断の仕方も、「それでOK!」と思える。

 

この春、同じようになにかを始めようとして「やっぱりやーめた!」をした全ての人に届きますように。みんな、それでいいんですよ。

 

 

また、描きます。

 

 

 

 

CHIHIRO