Chihi’Log

物語の主人公はいつだって自分だ

坂口恭平さんの「よみぐすり」を読んで思い出したこと

 

そういえば私も、22歳くらいまでは「死にたい」と何度も思っていた。

 

今日たまたま本屋で出会った坂口恭平さんの「よみぐすり」を読んでそう思い出した。

 

あの頃死にたかった私も、今はこうして生きている。

今生きている自分自身を、実感しているのです。

 

 

 

 

「死にたい」とは言えなかった

一瞬で自分の世界が絶望となった14歳。今でもあの頃の感情は忘れられない。ただ、起きた出来事はうまく思い出せない。自分の中で深く深く心の中に仕舞い込んだ。そして簡単には思い出さぬよう鍵をかけて。

 

毎日つらかったことを覚えている。その気持ちを吐き出したかったのは、精神科の先生でも、カウンセラーでも、学校の担任でもない。家族でしかなかった。

 

「死にたい」

その一言を言えたら、と思う反面、言ってしまった先のことを考える子供だった。あの頃、もう少しうまく両親とコミュニケーションがとれていたらな、と思うことが何度もあった。でも、うまくできないことを自分のせいにするしかなかった。責めて責めて、泣いて泣いて、しまいには眠れなくて。

 

学校にも行けなくなった私は、本当に暇だった。

みんなが当たり前のように授業を受けて勉強している間、私は家で横になりながら孤独な時間を過ごした。

 

何もしない時間は、もとい、何もできない時間は、人をつらくさせる。

 

 

なんでもいいから、動くことだ

「自分は何もできない」と思うことで体まで麻痺していく。

意図的に何もしない時間は大切だと社会人になった今の私は理解ができるが。

 

坂口さんが「手を動かすことが人生の解決となる」と本に書いていた。そうそう、なんでもいいから動くことは本当に心に効く。

 

大学生のころ、まだまだつらさの渦の中にいた私に親友が「ちょっとジムいこ」と言った。ちなみに私は運動が嫌い。走っても歩いているようだし、踊れないし、ボールを思った方向に投げれたこともない。ただ唯一、泳ぐことが好きだった。ジムにプールがあるという誘いに乗って、親友と通いだす。

 

 

体を動かすとすっきりする。

 

その感覚は確実に私を救った。そんな単純で誰もが想像つくことを、つらさの中にいるとできなかったりする。なにより、感覚が思い出せない。だから、やってみる気持ちになれない。負のループである。

 

「つらい」と言うのは簡単。本当につらいという気持ちはわかる上で簡単と言っている。

でも、なんでもいいから動いてみると、気持ちが違ってくる。たった一回動けたことでも少し続けると習慣となる。

 

今でも考えすぎてつらくなったら、席を立つとか、居る場所から出てみるとか、スマホを置いてみるとか、少し散歩してみるとか、工夫を続けている。

 

散歩は難しいかもしれないけど、椅子から立ち上がるくらいならハードルが低い。そうやって、つらい自分から距離をとる。つらさといつも一緒に居ないこと。なんでもいいから動いてみると、つらさを忘れてすっきりすることが本当にあるのだ。感覚は取り戻せる。

 

 

なんでもいいから、楽しむことだ

私は趣味が沢山ある。10人に「趣味はなんですか?」と聞かれたら10通り答えられるほど沢山ある。

 

死にたいほどつらかった14才当時、大好きなマーチングの活動が続けられなくなり、全てを失ったような気持ちになった。

 

何か一つでも好きなことがあれば確かにいい。ただ、私にとってはその一つの好きなことができなくなった時のことを考えると分散させたほうがよかった。大好きなマーチングを辞めてそう学んだ。

 

つらさから距離をとれるようになると、なんとなく活力が出るタイミングがある。「やってみようかな」の気持ちにはいつだって乗ったほうがいい。

 

高校時代の友人に「なんでも楽しそうにやるよねぇ」と言われてハッとした。何事も楽しんだほうがいい。つまらないことは実際あるけど、楽しさを探すと笑顔も出るから幸せな気持ちになれる。頑張らなくていいけど、楽しむ。頑張りそうになったら、楽しむ。つらくなりそうだったら、楽しさを思い出す。

 

楽しいことが一つあって幸せな人もいていいし、熱中できることは幸せ。

楽しいことが沢山あって幸せな人もいていいし、趣味が沢山あることも幸せ。

 

どちらでもいいのだ。まず、自分を知ることである。

 

 

なんでもいいから、息をすることだ

息をするだけで人間充分だ。それだけで素晴らしい。

「何かを頑張らなきゃ」とか「自分はどうしたいのかわからない」とか、とりあえず置いて、呼吸に集中。つらいことを考えている最中は大抵呼吸が浅い。深く呼吸をすることで酸素が行きわたり、落ち着いてくる。

 

深呼吸は大事。

 

小さなこと、簡単なこと、単純なこと、当たり前なこと。そんなことが人生には一番大切になる。けど、そんなことを時に人間は疎かにするし、適当に済ませてしまう。

 

息をするだけで充分。

 

 

それでいいんだよ、そのままで満点

 

死にたくたっていいんだと思う。

つらくたっていいんだと思う。

 

けど、もう本当にどうしようもないときに何か一つ行動できたら褒めていい。

 

相談出来たら褒める。発信するのは素晴らしいから。

泣けたら褒める。感情を出すのは素晴らしいから。

寝れたら褒める。今日も眠くなるほど頑張ったのだから。

「死にたい」と言えたら褒める。そのままのあなたでいいのだから。

 

 

あんなにつらかった自分も、今では人を支える仕事に就いている。

人生はなにが起きるかわからない。だから楽しい。

もちろん死にたかった当時、こんな未来も自分も想像していない。

 

気持ちがわかるからこそ、言える言葉もある。

だからこうして私も気持ちの発信を続けている。

 

 

 

なんでもいいから、今生きているあなた自身を、実感することなのです。

 

 

 

 

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